研究テーマ

血液凝固異常症等に関する研究班 研究テーマ

 

研究課題名(課題番号)血液凝固異常症等に関する研究(20FC1024)
研究代表者森下 英理子
研究事業予定期間令和2年4月1日から令和5年3月31日まで3年計画

 

研究組織情報

研究者名分担する研究項目
森下 英理子研究総括(全疾患)
関連学会/行政との連絡、調整
柏木 浩和ITP研究の総括
ITP診断基準改訂
村田 満ITPの疫学調査、診断法の改良と診断基準の評価
桑名 正隆ITP診断基準の改訂および新規検査法の保険収載
島田 直樹臨床調査個人票の解析,統計解析コンサルト
松本 雅則TTPガイドライン改訂, aHUSガイドライン改訂
丸山 彰一aHUSガイドライン改訂
宮川 義隆血栓性血小板減少性紫斑病のガイドライン改訂、疫学調査
小亀 浩市TTP/aHUSの遺伝子解析
横山 健次全国調査、診療ガイドラインの策定
大賀 正一特発性血栓症(小児領域)診療ガイドの策定
松下 正先天性血栓性素因の分子病態解析
根木 玲子周産期領域の遺伝性血栓性素因のガイドラインの作成

 

流れ図

 

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)

研究目的

ITPグループの実績として、成人ITP治療の参照ガイド2019年版、妊娠合併ITP診療の参照ガイドを公表した。2019年に改訂した治療参照ガイドの普及・啓発を進め、ITP診療のさらなる向上を図る。疫学調査に関し、新たなデータの使用が可能になってきたことから、従来のデータとの比較を通し疾患の実態を明らかにしていく。また従来、除外診断が中心であったITPの診断に関して、新たなITP診断基準の改訂に取り組むとともに、二次性ITPの病態、解析に関する検討も行う。

期待される効果

本研究ではITP臨床調査個人票を解析し、ITP診療の実態に関して極めて貴重な情報を提供することが可能である。また、本研究班で作成したITP治療の参照ガイドはITPの治療目標ならびに薬剤の適正使用に関して大きな影響力を発揮している。新たなITP診断基準の作成は適切な治療の選択、および患者により負荷の少ない検査を提供することで日常診療に与える影響は大きい。

研究計画・方法

  1. 疫学研究の継続、発展(村田、島田、研究協力者:羽藤)
    平成27-29年成人ITPの臨床調査個人票のデータを入手しており、患者数および治療の推移等についての解析を進める。また書式変更された平成30年以降のデータについての収集および小児ITP患者における医療意見書の情報収集の準備を進める。
  2. ITP治療参照ガイドの普及と次期改訂への準備(柏木、桑名、研究協力者:加藤、全班員)
    ITP治療参照ガイド2019年版の普及とともに、次期改訂に向けて主に海外での新規治療薬の臨床試験の状況等について学会等を通して情報収集に努める。
  3. 病態解析を基盤としたITP診断基準の確立(柏木、桑名、村田、全班員)
    ITPの新たな診断基準作成、および既存のデータを用いた診断基準の有用性に関する検討を行う。
  4. ITPと二次性免疫性血小板減少症と治療反応性(桑名)
    ITPとSLEの治療反応性の違いについて、Systemic Literature Reviewを行う。

 

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)/ 非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)

研究目的

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は、血栓性微小血管症(TMA)に含まれる予後不良の希少疾患である。両疾患とも診断と治療が困難であるが、2017年と2015年にそれぞれの診療ガイドが作成された。TTPに対するリツキシマブ、aHUSに対するエクリズマブなど特異的な治療法も保険収載されたが、治療困難な症例が依然として存在する。また、希少疾患であるため医師の経験不足が原因で、正確な診断がされていない可能性もある。そのためTMA症例において、ADAMTS13検査や補体検査について遺伝子解析を含めて解析する。さらに既存のガイドラインに新たなエビデンスを追加し、新規薬剤の適正使用について記載するなどの改定を目的とする。

期待される効果

TMA症例においてADAMTS13検査や補体検査を行うことによって症例を集積し、日本人のTTP registryやaHUS registryを継続することができる。両疾患とも希少疾患であるため症例数が少なく、日本人における病態解析は困難であるので、このregistryは貴重である。また、新たなエビデンスや新規薬剤の適正使用を推進するガイドラインを作成することによって、患者の生命予後と生活の質の改善が目標である。

研究計画・方法

  1. TMAにおけるADAMTS13解析(遺伝子解析を含む)ならびにTTP症例の集積を行う。
  2. TTP前向きコホート
    後天性TTPを前向きに集積して臓器障害について検討する。
  3. 先天性TTPにおけるADAMTS13遺伝子解析
    奈良医大輸血部でADAMTS13解析を通じてTMA症例を集積している(松本)。その中からTTP症例を集積し、先天性TTPに関してはADAMTS13遺伝子解析を実施する(小亀)。
  4. Clinical question(CQ)に基づいたTTP診療ガイドラインの作成
    2020年度にCQを策定して、その後エビデンスの収集を行い、2022年度までにガイドラインを作成する(松本、宮川)
  5. aHUSの蛋白質学的、遺伝学的解析と症例集積
    名古屋大学腎臓内科で実施している溶血アッセイとH因子による蛋白質学的解析を継続し、症例の集積を行う(丸山)。その中から遺伝子解析が必要な症例を選択して、かずさDNA研究所の協力を得て、臨床データを集計する。
  6. aHUS診療ガイドの改定
    日本小児科学会、日本腎臓学会に協力してaHUS診療ガイドの改定を行う(丸山、松本)日本独自のデータを盛り込んだ診療ガイドの改定を、2022年を目標に作成する。

 

特発性血栓症(遺伝性血栓性素因によるものに限る)

研究目的

遺伝性血栓性素因の病態解析と診断法の開発、小児期から成人期発症患者全てを対象とする包括的診療ガイドラインを作成することにより、特発性血栓症の予防、重症型遺伝性血栓性素因患者の予後改善を目的とする。2019年には新生児血栓症と遺伝性血栓性素因患者の妊娠分娩管理に関する全国調査、2020年度に、遺伝性血栓性素因による特発性血栓症の疫学研究(一次調査)、2021年度に二次調査を行い疫学・治療実態の把握を行うとともに、診断基準が十分に浸透しているか確認した。また遺伝性血栓性素因患者の妊娠分娩管理に関する診療の手引きQ&Aを作成した。2022年度は特発性血栓症レジストリー構築、診断基準見直しを進める

期待される効果

特発性血栓症の診断法の開発、診断基準の改定により、本疾患の診断をより適切に行うことが可能となる。またレジストリー構築により遺伝性血栓性素因の症例数、血栓発症頻度、血栓発症の危険因子などが明らかとなり、貴重な情報を提供することが可能である。さらに、診断基準の普及ならびに包括的診療ガイドの作成は、効果的な VTE の発症予防策として患者 QOL の改善が期待できる。

研究計画・方法

  1. 全国の医療機関からの遺伝性血栓性素因症例の遺伝子解析を継続し、遺伝子変異部位のデータを集積する(松下、大賀、森下)。
  2. 遺伝性血栓性素因による特発性血栓症の疫学研究の一次、二次調査結果の回収が2021年12月で終了するのでその解析を行い、本邦における実態を明らかにする(横山、根木)。
  3. 現在のところプロテインC、プロテインS活性測定法は標準化されていない。そこで、日本血栓止血学会および日本検査血液学会の学術標準化委員会と連携を図り、測定法の標準化と健常人の基準値設定を行う(松下、森下、研究協力者:家子)。
  4. 「先天性血栓性素因患者会」の活動を援助し、患者にとって有用な情報を発信する(大賀、森下)。
  5. 特発性血栓症のレジストリーを構築する(森下、横山、研究協力者:松木、橋本)
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